「あははは…あーあ…裕、お前…ははは…」
「なんですか?」
「ダメだな…はは…」
「あ…え?」
「クククッ…あっははは…」
隆はしばらく笑い続けた。僕は意味がわからず、笑う隆を眺めていた。あまりに笑っているので、僕は尋ねた。
「どうなってるんですか? なにが可笑しいの?」
「あははは…ダメだこりゃ…クックックッ」
「なにがダメなの?」
「あー…お前…スゲェな…」
「え?」
「あはは…似合うよ」
「はい?」
「制服…よく似合ってる…いいよそれ…」
「どういう意味ですか? 僕のこと…どう思ってるんですか…いま?」
あまりにもわけがわからなくて、聞けなかったそれが思わず口に出た。隆は笑いながら答えた。
「変わんねぇんだな…あははは…お前はスゲェわ」
「変わんないって…」
「俺も…お前もさ…」
「それって…」
「ああ…バカみてぇだわ俺」
「もしかして、リミッター…外れたの!?」
隆は頷いた。笑いながら、何度も。寺岡さんの予想は当たっていた。僕は自分の役割が全うされたような感覚を覚えた。
「そっか…良かったね、隆…良かったね」
そう言いながら、僕は声が詰まっていた。泣きそうになっている自分が不思議だった。



