僕を止めてください 【小説】





 生まれて初めての失神だった。だが、落ちるまでの数秒、僕は遠のく意識の中で、生まれて初めてのものすごい快感を感じていた。その快感は容易に性感へと変換した。殺される、と思った。正確には“壊される”と思った。自分が壊される。それを思うと、さらに快感は増大した。僕は意識を失う瞬間、初めて射精した。それが射精だとはその時は自分では気づかなかったのだけれど。

 気がつくと、ソファに寝ていた。着ている服は脱がされ、彼も裸だった。意識が朦朧として、なにが起きているのかよくわからなかった。彼は僕の上に乗っていた。両脚をいっぱいに開かされ、股間には変な違和感があった。彼が僕の唇を舌で舐める。身体が上下に律動していて、違和感はそのたびに感じた。排泄孔に灼熱感があり、僕の身体は失神前の快感を残して、性器は固く尖って上を向いていた。

「ああ…ああ…良い…良い…」

 彼がのけぞって陶酔したような変な声を出している。ああ、これが本で読んだ強姦というものなんだ、と僕はその時初めて認識した。彼と目が合った。僕が意識を取り戻したことを、彼も認識したみたいだった。