起き抜けの夢のなかで僕の首に指が巻き付いていた。ずっとこうだったんだと夢の中で僕はまったく当然のように受け止めていた。過去、一度たりともこの指が外れたことはなかったと。

 長い長い長い時間、僕が気がついた時にはこの指は僕の喉元を覆っていた。誰が僕の首に手を掛けようと、この指の代わりをしているに過ぎなかった。僕が生きて誰かと関わると、この指は僕を絞めて落としたんだっけ。僕がこの世で透明に存在を殺していくために。本当は肉体が存在することを許さなかったんだ。だけど…

 ふたつの想いが交錯して僕はこの世で肉体を持ちながら死んでいる。それはせめぎ合っていた。死に守られている。肉体には制御装置がある。それがなぜそうなったか、それはわからなかった。

 扉…戻っていく…制御装置…また僕は静かな世界で…