「お前を永遠に愛していたかった…俺が望んだのはただそれだけだった。だから愛してるまま死んじまえばいいって、いつからかそんな妄想に取り憑かれちまってた。お前が望んでいる死を、俺がお前に与えたかった。松田がやれなかったそれを、お前を止めたはずの俺がお前に与えるって…滑稽過ぎて今なら反吐が出る。でも、俺はもう終わる愛なんか見たくなかった。すべての符牒が、完成したパズルみてぇにはまって見えた。死にたいお前と、死にたい俺。俺が死んだ後、あっちで待ってたお前が、死んだ俺を愛するんじゃねぇかなんてことまで思ってた。そしたら俺はお前の好きな死の世界の住人になれる。そしたらお前が初めて俺を見る…そう思ったら泣けてきた。俺は死んだら永遠に愛するだけじゃなくて、愛されるんだ…って。もう俺は終わりを見ることは…ないんだって…」

 永遠…永遠…えいえ…ん…

 それは小島さんの言っていることが正しいよ。そう僕は思った。生きている世界には始まりがあるんだ。だから終わりが必ず来る。死にはそれがない。必ず終わるように出来てるから、生きてる世界は淋しいよね。僕もそう思う。僕はそれを教えられた。佳彦や隆に。でも、死の永遠の世界は生きてる人からは遠いんだ。本当に行こうとする時、その体の中の熱を自分から断ち切ろうとする時、人はどれだけの決心と思い込みと絶望がいると思う?