「実際法医学者になって僕の嗅ぎ分けた区別が科学的に裏が取れたらそれは有効ですよね?」
「お前の論理って、飛躍するよな、良く」
「飛躍は大事です。可能性の問題は綿密に精査するべきでは?」
「なんだかなぁ」
「で、僕、法医学者になれますか?」
「ええ?」
「ちょっと調べたら、医学部行けばいいらしいんです」
母親と話した後で、僕はインターネットで法医学のことを調べていた。
「お前、学校の成績って良いのか? そう言えば聞いたことないけど」
「良いのかな…あまり成績で叱られたことないから」
「お前の親は他のことでも叱らねぇだろ」
「英語と理科以外はいいような気がします」
「英語と理科は医学部じゃ必須だろ。理科は中核だし論文とか全部英語だとかいうぞ」
「ああ…じゃあ理科と英語も今からテコ入れしないとダメですね」
「医学部志望で理科不得意って致命傷だよな」
「そうなんですか」
「もっと調べろ。ちゃんとやれよ。医学部ってハードルむちゃくちゃ高ぇだろが!」
「あ…そうなんですね。よかった、小島さんに聞いて」
「いや、それは先生に聞け! 偏差値とかあるからよ。俺は責任持たねぇぞ」
そうだ、と、僕は我に返った。なにを聞こうと思ったか忘れそうになっていた。



