「折角、珍しく質問したんだから答えてくれませんか。どんな感じなんですか?」
「どんなって…好きだって気持ちがいきなり萎えるって、言ったよな」
「はい。それから?」
「それから?」
「ええ、それから」
「別れる」
「別れたあとは?」
「もう、なんにもねぇよ。罪悪感以外」
「あ、そうですか。じゃあ、萎えたあと付き合った人はいないんですよね?」
「そりゃ…な」
「そこですよね。それなら萎えても付き合ったらいいんじゃないでしょうか、僕達」
「はぁ!?」
僕は振り返って小島さんの顔を見た。なんか変な顔してるなと思った。眉毛が八の字になっている。
「だってまた好きになるかもしれないでしょ? それに恋人とかじゃなくても、この世には“友達”っていう関係だってあるって言うし」
「おい…」
「僕は友達がいないので、どういう風にしたらいいかは知りませんが…なれますか? 小島さんは友達いましたよね。だったらなれるかどうかわかりますよね。どうですか?」
「いや…おい…あのさ」
「そうすれば僕、泣かないんじゃないかって思うんです」
僕は、泣かないのかな。いや、泣くこともあると思うんだ。
「どう思いますか? 推論の穴は可能性の追求が期間的に足りないってことなんですが」
「お前…泣くのか…?」
「可能性は否定できません。僕、今日も泣いてますし。それが嫌で小島さんも僕が小島さんを見るのが怖いって言うんでしょ? でもその怖さは、関係を変えて実験の期間を伸ばすことで解消されると思うんです。僕の論理間違ってますか?」
「裕…お前…」
「僕は結局変われない。小島さんになにも出来ない。でも今のこの僕のままでも辛さが緩和して、実験も続けて、もし小島さんが違う結末を手に入れられるなら…僕はそうしたほうが良いって…思うんです」



