廃屋に隣接した車庫の、壊れた車の中で発見されたそうだ。

 警察の調べでは廃屋の家主ではない、その知り合いでもない、と判明した。まだ若い。40歳になるかならないかの男。車は廃屋に捨ててあったものだった。検視では事件性は半分以下ということだった。自殺かも知れない。他殺の線は薄い。だが所持品が大変少なく財布だけで、金銭は抜き取られていないようだった。遺書がないのと、身元に関する情報がなく、更にほとんどの人が持っているはずの携帯電話やスマホがないのも気になったと捜査員は感じたらしい。

 普通なら行政解剖で終わるはずが、それで司法解剖となった。見る前から悪い予感がした。