「正直、
迷ってる。」
ポツリと呟かれたその言葉に心臓がドキリと大きく跳ねた。
「な……何に?」
「留学するか、しないか。
親父の言う通り、本当に面白そうだと思った。
でも……1年もお前と離れるなんてできない。」
ぶわっと涙腺が熱くなる。
「できない……。
私も……置いていってほしくないよ……」
奏は面白そう、って言ってるのに。
『私のことは構わず行ってきて』って言わなきゃダメなのに。
言えない。
「行かないで……っ」
言えない。
好きな人の幸せは私の幸せ、なんてドラマみたいなセリフ言えない。
私の幸せは私の幸せ。
奏の幸せは奏の幸せ。
奏のために自分を不幸になんて
できない。



