「何言ってんの。」
奏は気だるそうにため息をついた。
やっぱ私がこんなこと言うのって柄じゃなよね。
「な、なんでもない!
ほら、いい加減服着ないと風邪引いちゃうよ?」
服を取りに行こうと立ち上がると、
奏がそっと私の右手を包んだ。
「なに……?」
さっきまでみたいに強引じゃない。
優しく握られた手。
「……甘えてたんじゃねぇの……?」
「え……」
「一緒に寝るのだって、嫌がらなかった。
前の栞奈なら俺のこと蹴っ飛ばして部屋飛び出してる。」
「それは……」
なんかいいかな、
って思っちゃったから。



