「栞奈。」
小さく首だけ振り返り、
「何……?」
と恐る恐る尋ねる。
奏はソファーに深く腰かけてテレビの方向を向いているため、表情はわからないが、
私を手招きしていた。
「さくら、ちょっと待ってて。」
「うん……」
寝ぼけ眼をこすっているさくらの手を一旦離し、
奏の側へ行く。
「何?」
奏は体を少し起こし、さらに私を手招きした。
これは……耳を貸せってことですね?
奏の顔の前に自分の耳を近づける。
「……風呂入り終わったらまた来い。」
「え……」
静かに囁かれたのに、
私の耳にははっきりと残った。
「うん……」
それだけ言って、私はさくらと一緒に自分たちの部屋に戻った。



