奏side



「奏お兄ちゃん。」


「……何。」



朝っぱらからなぜか俺は子供を相手にしている。



「このプリンちょうだい。」


「コラ、さくら!」



布団を整えていた栞奈がさくらの元へ飛んできた。



「ごめん、奏。」


「いいよ。やる。」



俺がプリンを差し出すと、

さくらは満面の笑顔で「ありがとう」と言った。



子供はわりと好きだ。



俺がさくらの頭を撫でると、

栞奈は驚いたように俺を凝視した。




「何だよ。」


「やっぱり奏って子供好き?」


「まぁ。

ってか、なんでさくらが俺の部屋にいるわけ?」


「あ、うん。

どうしても一緒にいたい、って聞かなくて。

昨日怖い夢見ちゃったんだって。」



怖い夢……。

可愛いな。



俺は思わず笑ってしまった。