「考えてるよ。

お前のことも……」


「え……?」


奏は苦い顔をして私から目をそらした。



「奏……?」


「なんでもない。」




この感じ……。


ドキドキドキドキ……


心臓がうるさい音を立てる。




勘違いだ。

奏の顔がちょっと赤いのなんて

ただの勘違い。




期待すれば

違ったときに

もっともっと

哀しくなる。




「そっか。」


私は不自然な作り笑いを浮かべて気づかないふりをした。



すぐに残りの仕事を終わらせ、

私は奏の部屋を後にした。