その日の授業が全て終わり、
帰ろうとしたときのことだった。
「ねぇ、七尾くんと帰んないの?」
奈央と優花が冷やかしで私にそう言った。
「あ、あのね。そのことだけど……」
嘘って言わなきゃ。
「栞奈。」
本当のことを言おうとした瞬間、
いつもと変わらないトーンで私を遠くから呼ぶ奏の声が聞こえた。
「きゃあーー!!」
奈央と優花が待ってました、とでも言いたげに叫び、
私を期待の眼差しで見た。
「だから違っ…「森田が待ってる。早くしろ。」
「モリタ?」
「ご、ごめん、行かないと。
また明日……。」
「うん、また明日!」
「お幸せに♪」
結局誤解を解けぬまま、
私は奏の後についていくことになった。



