「バカ……」
分かってないのは奏の方だよ。
私が受け入れるのは、
奏だから、だよ。
「どーせ俺はバカだよ。
ほら、授業始まる。」
周りのざわめきなんて全く気にせず、
教室に入ってきた先生を見て、
奏は自分の席に戻った。
この気持ちを奏に知ってほしいんだか、隠したいんだか分かんなくなってきた。
「そっか。南って七尾と付き合ってんのか。」
「え……」
声の主は、隣の席の佐伯くんだった。
「あ、その……
実はあれ……嘘なんだ。」
「ハ!!?」
佐伯くんが大きな声を出したので、
先生は鋭く私たちを睨んだ。



