何となく胸が圧迫されていることに気がついた。

見れば、夕奈が一生懸命両手で押していたのだ。

慌てて離れる。と…、

「あっ。」

「おっと。」

夕奈がその場に崩れる。

「悪い、つい…。」

「び、びっくり、した…。」

はぁ、はぁ、と呼吸を整える夕奈。

「もう、死ぬかと、思った、ですよぅ。」

「悪かったって。呼吸止めてたのか?」

「だって、キ…、スっていうから、その…。」

「うん?」

「…唇くっつけるだけだって思ったんですっ!」

早口のようにそう言って恨めしそうに俺をにらむ夕奈。


…こいつはっ。