誰もいない廊下。
音のしない校舎。
傾き始める太陽。
俺たち以外、いない空間。
まるで、時が止まったみたいに変化がない。
このままであればいいのに、と思う。
「先、輩…。」
「ん?」
できる限りの柔らかさをこめて返事をする。
夕奈はまるで、真っ白なウサギみたいだ。
「私、先輩の事、好きなのかなぁ…?」
「ははっ、本人に聞くなよ。」
夕奈もふふ、っと小さく笑った。
「お昼休みの時と同じ…。」
「うん?」
「あ、ううん、ちがう。それ以上。
すっごく近くにいるのに、怖くない。…イヤじゃ、ない。」
…それは。

