「…わぁ。」


真っ暗な背景にぼんやりと映る家々の影。

その間を縫うようにしてあがった花火は輝くように広がって。

遅れて心臓にのしかかるようにドーン、という音があたりに響く。


…生で見るとこんなにすごいんだ。

近くで見ようとしているからか、辺りには人がほとんどいなくて、

まるで、先輩と二人しかいないみたい。


少しくらい遠くても、花火はすごくきれいに見える。

むしろ、人がいないおかげで余計にきれいに見えるのかも。


遠くには屋台の電気がぼんやりと小さく見える。


「先輩、よくこんなとこ知ってましたね。」

「うん。この近くにばあちゃん住んでるからさ。

きれいだろ?」

「はい。…すごく。」