「あ、ちょっと無視しないでよう…」
犬みたいなやつはあからさまに落ち込んでいる。
「……何」
面倒だ、と思いながらも視線をそちらに向け問い掛ける。
「あ!やっと反応してくれたぁ」
犬(みたいなやつ)はぱあっと顔を輝かせた。
「…私忙しいから早く話してくれない?」
そう言いながらも相手の様子を観察する。
ふわふわの色素の薄い茶色の髪に金の瞳。
可愛らしい顔立ちをしている。女の私より可愛いんじゃなかろうか。
「あ、ごめんねぇ。あの身のこなしって誰にでも出来るもんじゃないからさ、気になっちゃって…。あ、僕は羽瀬 尚-はせ なお-って言うんだぁ。よろしくね!」
えへへ、と笑う犬…じゃなくて尚は本当に可愛いと思う。
