長い黒髪が宙に浮く。 倒れる寸前の所で足を出した女の顔を見れば勝ち誇ったような笑みを浮かべていた。 「…なぁんちゃって」 素早く片手を床につけばさり気なくスカートを押さえながら未だ床を踏みしめている片足で思いっきり床を蹴る。 背をぐっとしならせ床についていた手を離す。 ふわりと体が浮く感覚に僅か目を細めて女を見遣る。 「…っく、はは…」 ぽかんと大きな口を開けて間抜け面を曝している。 笑いを堪えきれず肩を揺らしながらも着地すれば那知ちゃんが笑い出す。