陸上部らしき男の人がこっちに向かって走って来た。

その男の人は、私たちの近くへ着くと

「陸上部の仮入部に来たの⁇」

と、笑顔で言った。

「は、はいっ」

私たちは、曖昧に答えた。
っていうか、ただ緊張してただけかも。
だって先輩と話すなんて緊張する。
ましてや初対面だし。

「OK!じゃあこっちに来て!ほら、
ダッシュ!」

男の人が、そう明るく言うと校庭の端っこの方へ走って行く。
慌てて、私たちが仮入部する人たちも着いて行く。

………うわっ、速‼︎


その男の人は、風をきるようにスタスタと走っていて。
私たちは置いてきぼり状態。

少し走ると、大きな階段あたりに着いた。
息を切らしていると

「仮入部のみんなー!ここに座って!」

と、男の人が言った。

い、息ひとつ切らしてない⁉︎
あんなに速く走ってたのに……。
むしろ、ケラケラと笑えるほどの余裕があるみたい。

私達は、少し戸惑いながらもその男の人が指差した 階段へ座る。

仮入部する人は男女合わせて、15人くらいかな?

そんなことを考えていた。

私達の目の前には、陸上部らしき人達が4列くらいで並んでいた。
1列目の列が男の人達。おそらく3年生かな。
2列目は3年生の女子。3列目は、2年生の男子。1番後ろの列が2年生の女子。

私は、しぜんと背筋を伸ばした。

そうしているうちに、1番前の列の真ん中にいた男の人(さっき一緒に走った人)が一歩前に出た。

「みなさん、初めまして!俺は、陸上部部長の山崎 理央矢(やまざき りおや)です!3年とは短い間だけど宜しく!分からないことがあったら、いつでも聞いてね!」

理央矢先輩は、ショートヘアに切れ長の目。
でも、どこかユーモアがある そんな感じ。