「うわぁーっ!!!」
「いやぁーっ!!!」
「ひ、日向……?」
羽賀は、びっくりして赤面した。
雄心は、少し顔を赤くして、
自分のワイシャツを私に着せた。
「制服…どーしたんだよ…」
冷静な雄心に比べ、
めちゃくちゃ戸惑っている羽賀が言った。
「せ、制服、ない…どっか、いった……」
自分の長い髪で、顔を隠した。
しばらく沈黙が続いた。
雄心が息を大きく吸った。
「お前、いじめられてるのか?」
っ………
イラッとした。
「いじめられてなんかない!!!」
室内の真ん中にある、長机を一発叩いた。
二人とも、ビクッと肩が上がり、
呆然としていた。
一言強く言っただけで、全部気持ちがあふれた。
「だいたい……あんたのせいなんだよ!!!
雄心が受験なんてするから…私まで………
受験なんてしなかったら、いっつも
一人でいることも、寂しい思いすることもなかったのに………!!!!!」
息を切らして、夢中で喋った。
でも、言った後に後悔した。
雄心を、傷つけた。と。
でも、雄心は優しく、私を抱きしめた。
「そんなこと思ってたのか…ごめん。
俺のせいで……ほんとごめん。」
雄心は大きかった。
わたしの頭を撫でる手も、抱きしめる腕も、身長も。
すごく、安心した。
昔から、変わらない雄心の匂い。
私の鼻を、くすぐる。
お母さんも忙しくて、まともに会うことも、話をすることもなかった。
学校でも一人で、すごく寂しかった。
雄心が、すごく温かかった。
「……もー、なんだよぉー……」
羽賀がため息をついた。
そして、私を抱きしめている雄心ごと、
抱きしめた。
雄心より、大きかった。
「どんだけ溜め込んでたんだよぉ。
ったく……。
もうこれからは、溜め込むなよ。」
「俺らが一緒にいるから…ごめん、日向。」
雄心は何度もごめんと言った。
羽賀は何度も私の頭を撫でた。


