影のような存在。

クラスも変わって、およそ5ヶ月が経つの
に、未だクラスに馴染めないでいた。

去年もそうだった。

いつも、一人だった。

小学校の友達は、みんな‘’お受験‘’なんてし
ないから。

そう。私は、友愛中学に受験で受かった。

もともと受験なんて、するつもりなかった。

でも、隣の家に住む幼なじみの、お母さんが、私のお母さんに提案したそうだ。

それでうちのお母さんは、みんなより少し勉強ができた私を、受験させようと決めた。

私は、受かってしまった。

勉強だって、全然しなかった。

行くつもりもなかった。

でも、「受かったよ」って私がお母さんに言ったとき、お母さんは大喜びした。

入学式に行くときも、
「お母さん、後から行くからね。いってらっしゃい!」って、今まで見たことのない笑顔で言った。

私はあの笑顔を、今でも忘れない。

お母さんは、お父さんが他界してから、
あんまり笑わなくなってしまった。

お父さんは、私が小学3年のときに、
バイク事故で他界した。

お母さんは、毎日のように泣いていた。

でも、あの日、喜んで笑ってくれたから。

私は行くしかなかった。

バスで行かないといけない中学校。

知ってる子は、隣の家の幼なじみ以外にいなかった。

人見知りだった私は、友達作りに失敗した。

2週間も経てば、仲良しグループは出来上がってしまっていた。

私は、どこにも入れなかった。

幼なじみは隣のクラスだったから、話すこともなかった。