「今から変えるの!?」

「雄心、ちょっと無茶だろ〜」

コンクールまで残り1日に迫っている朝。

教室の前に立つと、みんなの声が聞こえた。

「雄心……確かに無茶だろ」

羽賀の声も聞こえた。

「うーん……」

歩海の声も聞こえた。

あ!

昨日、私が雄心に教えたメロディー。

みんなに雄心が言ったんだ。

確かに、無茶だって……

「無理じゃねぇって。俺らならできる」

私が教室の扉を開けようとしたとき。

そんな言葉が聞こえた。

一瞬で空気が変わったようだった。

「……やってみるか」

雄心の言葉に、羽賀や歩海、

みんなの考えも変わったみたい。

「音楽室、借りに行くか!」

羽賀がみんなに言った。

「ちょい待って。」

静かに雄心がそう言って、
勢い良く扉を開けた。

「ここにずっと棒立ちして、
 盗み聞きしてた人がいるから。」

え。えええええええ!!!!!!!

気づいてたの!?

「気づかないわけないじゃん。」

また私の心を読んだみたいに言って、

腕を引っ張った。

「行くよ。」

雄心が笑ったから、

私も笑った。