彼、濁火カラシについて少し説明しよう。(誰に対してだよ、と彼はツッコミを入れている)

彼は、端的に言うと美しい。ハンサムである。
長いまつげはルビーのような赤い瞳を縁取っているし、唇は桜貝のようだし、まるで彫刻のような顔立ちをしているのだ。

それならさぞモテるだろうと皆思うだろう。

だが、彼は私以外の人と会話することができない。しかし、私のようにコミュ障な訳ではない。

彼は私の空想の存在なのである。

私が丹精込めて描いたイラスト上でしか彼はその美貌を露わにすることはない。しかも私は人にイラストを見せることがないので、(見せる相手もいないので)誰も彼が美しかろうと美しくなかろうと気にしない。

ちなみに彼の性格は私がいろいろ考えて作ったのだが、途中で彼が「俺そんな性格じゃないし」と主張し始め、散々喧嘩した後、彼は素の性格で生活することを謳歌している。

まあよく考えればあの頃の私の主張を要約すると、「私の思い通りの奴隷が欲しい!」という非常にわがままなものだったので、彼の正論には勝てなかったのだが。

まあ、なんだかんだ言って彼は私の唯一無二の存在であるし、私も彼にとって唯一無二の存在なのである。