家に帰ると、私は早速録音した音源を聞くことにした。

しばらくノイズがはいる。

それから数人の男子生徒の声がはいる。

…。

ついにあの連中は現れた。
「昨日も話したけどさあ、ほんと古村ってうざいよね」
「ね!」

「古村って誰だ?」
濁火君が私に聞く。
「昨日私に話しかけた子の一人だね」
私は記憶の底をひっかきまわしながら思い出す。

ってことは…
「古村さんが陰口言われてんのを自分のだと思っちゃってたよ…」
「安定の自意識過剰っぷり」
濁火君は笑いを堪えながら言った。そしてそのあと案の定吹き出した。

「別に古村さんのこと助けたいとか思わないしなー…」
録音したファイルを消そうと思っていると、
「古村ってさ、顔もでかいし!」
「ビッグフェイス(笑)」
「私この前一緒にプリクラ撮っちゃった〜」
「あいつと〜?かわいそう〜」

「…。」
「女子って怖いな」
濁火君がボソッとつぶやく。

「でもこれだけはっきり声入っちゃってるし、CDに焼いて先生に見せれば絶対言い逃れできないよね」
「でも言い逃れできないからってこれが終わるわけじゃないし、大体終わっても終わらなくてもお前には関係ないよな」
私は少し考えてから、こういった。

「よし!先生に突きだそう!これは古村さんのためじゃないぞ!純粋な八つ当たりだ!」