『可愛いかったよ』
『こんな事なら、もっと早くこうしていれば良かった…』
彼の目には涙が溜まっていた。
どうして泣いているの
女の子が聞くと
『なんで死んだの』
彼もまた、女の子に聞いた。
『気をつけて帰れよって言ったのに』
…うん
ごめんね
『轢かれたとき痛くなかった?』
ん~…痛かった
そう言いながらも笑ったのに、彼の顔はこの上なく切ない。
あなたの方が痛そうね
『痛いよ…。胸がすっげー痛いよ。こんな事になるなら、俺が家まで送っていけばよかったって何度も思ったよ』
…………約束、守ってくれたんだね
『当たり前だろ…』
交際一年記念日にあのレストランに連れて行ってくれるって
『ずっと行きたいって言ってたもんな』
私がいたからびっくりした?
『心臓止まって死ぬかと思った』
だめだよ
まだ死んじゃ
『……………』
私
あなたが世界で一番大好きだもの
『幽霊って泣けるんだね』
彼は女の子の頬に手を当てた。
……今日
ずっと
私の体温感じられた?
『うん…』
うそつき
『俺も……世界で一番大好きだよ…』
…………………………せいなよりも?
好きだった?
『大好き』
アホ
もっと早く言ってよ…
あなたはずっと
せいなに未練があるんだと思ってた
『俺の中からは、せいななんてとっくに消えてた』
今日ね
あなたのためにメイク頑張ったの
せいなより可愛かった?
『今の方が可愛い』
アホ
彼は女の子に何度もキスをした。
何度も何度も可愛いと囁いて。
お互いの体温も感じられないキスをした。
『また泣いてる』
あなたのせいよ

