買ってきたメイク道具をドレッサーに並べて。
キラキラのそれを見て、女の子は胸を高鳴らせた。
もう少し目が大きくて、睫毛がクルンとしていて、眉毛が整っていて、頬がピンク色で。
綺麗な肌で、唇が鮮やかだったなら…。
そんな思いをメイクの筆にのせて、運ぶ。
最初は上手く行かないものだから、何度も挑戦するのだ。
何度も何度も。
やがて、てっぺんにあった陽が西へ傾いて空はオレンジ色に染まり出す。
何度やり直したか分からない状態で、やっと完成した自分の顔。
最早自分の顔ではないけれど。
クルンとした睫毛、整った眉毛、少し大きな目、毛穴の目立たない滑らかな肌には、ピンクの頬と鮮やかなサーモンピンクの唇が映える。
女の子は幸福感に包まれた。