女の子は朝、鏡の前に立ってため息を付く。
鏡に映っているのはかわいい女の子。
茶色がかかった瞳と髪と、小ぶりの鼻がキュートな女の子。
だから、女の子は毎日鏡の前でため息を付く。
そこには昨日と変わらない自分が映っている。
それが、嫌で堪らないのだ。
茶色い目も、髪も嫌い。あの子みたいに綺麗な黒髪になりたい。黒く見える瞳になりたい。
小ぶりな鼻はもっと嫌い。高くなりたい。眼鏡が似合うような。綺麗な線を描く鼻になりたい。
女の子は毎日そう思う。
服はかわいい。けれど、着るとかわいくなくなる。
あの子が着るとかわいいのにどうして。
わたしが着るとかわいくないの。
きっと、小顔じゃないから。足が長くないから。
分かっているけれど、悲しい。
あの子みたいになれたら、どんなにいいだろう。