「ただいま…」
「…孝介くんには会えた?」
何も答えない私を見てお母さんは察したようで、
「まだ体調は万全じゃないんだから温かくして寝てなさい」
そう言って氷を渡してくれた。
部屋に戻って鏡を見て失笑する。
ひどい顔。
私は、お母さんから渡された氷を目に当てた。
目を冷やすと顔の熱が吸われるように気持ちよくて、心に余裕が生まれたところでケータイのランプが点滅していることに気が付いた。
藁にも縋る想いでケータイの着信履歴を開くとそこには『孝介』の二字。
「心臓が止まるかと思った」とは、まさにこの時使うのだと思う。

