Salty Taste Love



孝介の家が見えると、ちょうど孝介のお父さんが車に乗り込むところであった。


「おじさんっ!」


私の声に気づいたのか、おじさんは動きを止めて私に振り向いた。そして、笑顔を向けてくれた。


「真耶ちゃん…。長い間孝介がお世話になったね。…ありがとう」


私は頭を強く左右に振る。


そんなことない。お世話になったのは私の方だ。


でも、そんなことは口に出したくない。


そうしたら本当にさよならな気がしたから。


『またね』がいい。『またね』でありたい。




「おじさん、孝介は?」


そわそわした気持ちで聞くと、おじさんの顔が曇った。嫌な予感とともに心臓がどくりと鳴る。


おじさんの次の言葉を待つ間、私の心臓は通常の倍の速度で鐘を打っていた。









「ごめんね。孝介は妻と、妻の実家に挨拶に行ったよ。もうここには戻ってこない。急で航空券が一緒に取れなかったから2人は先にオーストラリアに行ってる。あっちで落ち合う約束なんだ」



そんな…。


私の落胆を見て申し訳なさそうにおじさんはもう一度謝った。



あれが…最後だなんて。


どうしてもっと最後の時間を大切にしなかったのだろう……。


だって、知らなかったから…。





あぁ…知らなかったじゃあ孝介は帰ってこない…。








ずっと続いた孝介との時間は、突然終止符を打たれた。それも、相手の一方的な都合で。


どんなに悲しかったか。どんなに悔しかったか。


今でも覚えてるよ。