「何時の便なのっ?」 「確か…14時辺りだったかな?」 今は9時48分。 …まだきっと、孝介は家にいる。 「孝介んち行ってくる」 言うが速いか、私はベッドを飛び出して階段の手すりを滑った。 手すりを滑り台とするのは、生まれて初めての試みであった。 「真耶!着替えないの!?また風邪引くよー!!」 背中からお母さんの声がした。 「大丈夫!!」 この時は振り向きもせずこう応えたが、後に思い出してもお母さんが何を言っていたのか覚えていないのだ。