細井さん…。
まるで見計らったかのようなタイミングで来た細井さんを恨めしく思った。
けれど、細井さんの方へ向き直る孝介の手は、当然だけどもう私の手を掴んではいなくて。
その瞬間、幸せな夢世界から一気に現実に戻された気がして、今まで熱をはらんでいた身体は途端に冷え切ってしまった。
罪悪感が押し寄せてくる。
まるで、妻の居る男性と浮気をしてしまって、その妻に会ったときのような。
経験はないけれど、たぶんそんなかんじの感情だと思う。
「あ…、ごめんね。何か話してた?」
「いや…」
居たたまれなかった。
「え…っと、じゃあ私お邪魔みたいだし、お邪魔虫はとっとと消えるとしますか!孝介ほっぺひっぱたいちゃってごめんね。お大事にっ!細井さんバイバイッ!」
大袈裟なぐらい大きく手を振って、私、ちゃんと2人のこと冷やかせてたかな。
孝介の何か言っている声が聞こえたけどもう知らない。
私に何か言いたいことあるなら、細井さん振り切って来て言いなさいよばか。

