「勘違い、すればいいだろ」
「何…それ…」
今なんて言った?
は、何言ってんの。
ふざけんな。
「サイッテー」
空を舞った私の手は、次の瞬間にはバチンと大きな音を立てた。
目の前には呆気に取られた孝介の顔があって、
その頬は見る見るうちに赤く染まっていく。
「…いてぇな。何すんだよ」
やっと正気を戻したように孝介は私を睨み付けた。
だが、無駄だ。
視界はぼやけてしまって孝介の顔をまともに見られない。
「私の気持ちも知らないで!…勝手なこと言うなっ!」
「はぁ?」
「勘違いさせられて、その度にこっちはどれだけ傷つけられてると思ってんの!?ふざけんなっバカッ!!」
勘違いさせられた方はどれだけ傷つくか分かってんの。
悔しくて、視界をぼやかしていた水が頬を流れる。
ああ…頭が痛い。
熱は更に上がっていて、もうフラフラだった。
「バッグもういい」
孝介からバッグを剥ぎ取って走った。
色々と限界で、家に無事に着けたのは奇跡だったに違いない。

