先輩という心の支えをなくした今の私には、孝介の素っ気ない相づちはダメージが大きすぎた。
分かってはいたけれど、実際に先輩と別れたことをここまで責められるとかなり傷つく。
…いや、本当は分かってはいなかった。
ちょっとぐらいは、と期待していた自分を否めない。
何度バカなことをすれば気が済むのだろう。
何度傷つけば慣れるのだろう。
「真耶、あのさ……ー!?……お前顔赤くねぇか?」
えぇ!?
うそ、…好きなのバレた?
「や、これはね……あーぁーーあ~…今日暑くない?」
「もうすぐ冬だけど」
う゛…。
「熱あるのかなぁ~??」
「ん…」
孝介の冷たい手のひらが私のおでこを包んだ。
「冷たっ…」
ドキドキする~!!
「あつ…熱あるな」
「うっそ!?」
本当にあるの!?
思わず声を上げると孝介は眉根を寄せて怪訝な顔をする。
「自分で言ったんだろ」
ピピッ…。
「37度9分…完全に風邪ね」
本当に熱があるとは…。
朝から身体が怠いのは恋の悩みのせいかと思ってた。熱だったのか。
保健室のベッドに腰掛けながら悶々と考える。
たぶんあれだ。
風邪引いた先輩にキスしたときのだ。
原因が分かると自然と息が漏れた。
「辛い?」
「…そーゆーわけでは…ないです」
体温計をしまいながら、私を尻目に見て先生は唸った。
「早退できる?私これから出張なのよ」
「帰ります…」
先生に見送られて、私は校門にさしかかったところで鞄一式を忘れたことに気づいた。
やっちゃった。
まーいいか。

