次の日学校の下駄箱には先輩の靴があった。
一緒に手紙はなくなっていた。
「真耶おはよう」
先輩はいつも通りで、違うのは私だ。
先輩の顔を見ると切なさが押し寄せてくる。
胸の辺りがズキズキ痛む。
私の彼氏は先輩で、一番大切なのは先輩。
私の好きな人は…一條先輩。
「先輩…、先輩っキスしてっ!!」
先輩の目が大きく見開かれた。
「お願い…早く」
私の頭を先輩でいっぱいにして欲しい。
私の好きな人は先輩なんだという証明がほしかった。
先輩に頭を引き寄せられて唇は重なった。
何度も何度も角度を変えて呼吸さえも忘れてしまう。
涙が溢れた。
胸に残るのは虚しさだけだ。
「先輩の好きなところ沢山探しました。いっぱいありました」
先輩はなにも言わずに私の次の言葉を待っていてくれる。
私が俯いているから、先輩がどんな表情なのかは分からない。
「でも…やっぱり孝介が好きです。一番、好きです。…先輩は二番目でいいって言ってくれたけど私、器用じゃないから二番目に好きな人なんてつくれません。一番だけが好きなんです」
涙が更に溢れたから上手く伝えられたか分からない。
泣くなんて卑怯だと思う。だけど、よく考えたら私は最初から卑怯だった。
「そっか……」
最初の告白の時とは打って変わって、先輩は静かに頷いた。
最後まで先輩の顔は見ることができなかった。

