「ったくお前のせいでまた居残りだよ」

この件での反省文は何枚書いたかもう分からない。
放課後、教室に残って2人で反省文を書くのは慣れてしまった。


「うっさい。誰がデカい頭だっての!」

「はあ?言ってねーだろ。いつのこと言ってんだよ」


さっきのことよ。


ツンとそっぽを向いた。


2人きりのこの時間が好きで、嬉しくて、それを孝介に知られないようにそっぽを向いた。







それからは教室にはシャープペンの紙に擦れる音だけが響いて、それに耐えられなくなった私は口を開いた。


それがいけなかった。




「……孝介は、好きな人とかいるの」



今思えば、何でこんな事を聞いたのか。

自分でも不思議でならない。




それは、きっと、たぶん。


『幼なじみ』という関係から抜け出したかったのかもしれない。