Salty Taste Love



一限目の予鈴を屋上で聞いた。


授業………………いいや。



本当は立ち入り禁止の屋上だから、先生も誰も来ないだろうし。



手すりに背を預けてそっと目を閉じた。



すると、ガチャンと屋上の扉が開く独特の音がして





その姿を見た途端、時間が止まった気がした。





「授業始まるよ……?」





息が詰まった。





だって、まさか。





憧れの人が目の前で私に向かって話しているんだもん。








「一條先輩……」




一條先輩は私の隣に立って私の顔を覗き込みながら言った。






「行かないの?」




「……はい。いいんです」




「サボり?」



黙って頷くと一條先輩は笑った。





「じゃ、仲間だ」






仲間……一條先輩の。




私が?







「どうしたの?笑って」




「嬉しいです。仲間だなんて」






素直に答えると一條先輩は私の顔に迫って、そして言った。



「変わってるね」




一條先輩は更に詰め寄って来るものだから避けるように顔を引いたら手すりに頭をぶつけてしまった。



「いった…」



「ははっ良い音したね~」




「笑い事じゃないです。本当に痛いんですよ、ここ」



「そうなの?………」




「ってわぁ!何してるんですか!?」


「俺もぶつけてみようと」




「ダメですっ!先輩の格好良い顔が壊れてしまったらどうするんですか!」




「格好良い………?」



わ、しまった…つい………。






「………………はい。先輩は、顔もスポーツしてる姿も勉強してる姿もみんな格好良いです。だから、大事にしてください。お願いします」



「ぷっ……なんで君がお願いするの!?やっぱり君、変わってるね」


そう言ってお腹を抱えて笑う先輩に頬は膨らんだ。




「……あ、憧れてるからですよ。先輩に。一條先輩は、私の憧れの人です」




「へぇ…俺に憧れてるんだ」




「………………はい」




「素直だね…」










「そんなことないです……」







素直じゃないんです私。




不思議です。



先輩には素直になれるのに、



孝介にはなれないんです。






一番……素直になりたい人なのに……。