な、何?
どこを見ればいいのか分からなくなって目線をキョロキョロさせてしまう。
なぜか一哉さんの手はまだ私の髪に触れたまま。
「あ、あの…一哉…さん?」
ハッとした表情。
パッと私の髪から手を離してクルッと後ろを向いてしまう。
「か、髪が口に入ってたんだよバーカ。」
「っはぃ?」
髪が口に入ってた??
「と、とってくれてありがとうございます!でもバカじゃない!!」
一気に赤面する私。
「いや、バカだな。」
「バカじゃない!」
「じゃ、アホか。」
「それでもない!!」
終わることのないラリーにしびれを切らして私はため息をついた。
「…なんだよ。」
「…もう、アホでもバカでもなんとでも言ってください。」
「拗ねてんのか。」
「拗ねてません。」
「でたよ。お前は拗ねるといつも敬語で俺を睨むよなー」
「睨んでません!こーゆー目つきっ!」
「はいはい。」
呆れたように笑う一哉さん。
「腹減ったろ?行こっ。」
話を切り替えて歩きだす。
確かにお腹は空いたけど…。
なんか上手く逃れられたような…
夕日に照らされてる彼の背中を見つめながら
悔しいと思いつつも
嬉しい気持ちに満たされていた。

