「そういえば涼太くんって家こっち方面なの?」



「俺? うん、こっちだよ」



「そっかぁ。ならよかった」



 ん?



 何がよかったんだろう?



 俺が首を傾げているのに気づいた心音ちゃんはちゃんと教えてくれた。



「ほら、もしも場所が反対方向だったらわざわざ悪いなぁって思ってたから」



 あぁー、そういうことか……。



「そんなこと気にしなくてもいいのに。女の子を1人で帰らせるわけにはいかないしね」



「ふふっ。優しいね、涼太くんは」