おててがくりーむぱん2



孝志は押し黙った。


佑司は伝票を手に立ち上がる。
それを見て孝志が「僕が……」と手を伸ばすと、佑司はにこやかに「いえ、ごちそうさせてください」と言った。


乾杯。
あ、ちがった。
完敗。


弱みを見せて、なおかつ、ミツを奪うエネルギーを与えてしまった。
孝志は唇を噛んだ。


「それでは」
佑司がそう言って去ろうとしたとき、窓ガラスをコンコンとノックする音がした。


振り向くと、道路から喫茶店の中に向かって、満面の笑みを浮かべた背広の男性が、こっちに手を振っている。


顔ばれしたかな。
今はそれどころじゃないのに。


「進上さん」
佑司が伝票を片手に驚いた声をあげた。


チリンチリンとドアにつけられた鈴がなり、進上がうきうきしているような足取りで喫茶店に入って来た。


「あっつ、あっつ」
少し脂肪を蓄えた身体をゆすりながら、こちらへ近づいてくる。


「鈴木ぃ」
「進上さん、おつかれさまです」
佑司が頭を下げた。