孝志が光恵に優しくキスをする。
ほんとに、とろけるようなキス。
孝志の指が光恵の髪を優しく梳き、頬から首の後ろへと手の甲を滑らす。
その感触に思わず光恵は身体を震わせた。
「光恵は俺のもの」
「うん……あ、光恵って呼んだ」
「でも、照れる」
「うん、そうだね」
首筋に唇が当たると、頭がぼーっとしてくる。
孝志の呼気が耳の後ろにあたって、光恵は「あ」と声がでた。
「誰にも触らせたくない。俺のものだって、みんなに言って回りたい」
「……でも、できないでしょ」
「したい」
そこで光恵ははっと我に返った。
「駄目でしょ! 今日、もう一人にばれちゃった」
孝志がしゅんとなる。
「だってあいつが、ミツのぷちおっぱいを触ろうとしてたから」
「は? してないってば。っていうか、ぷちおっぱいって何よ!!!」
光恵は孝志のほっぺたを、きゅーっとつねった。
「ぷちだよ。おっきくはない」
「そんなことないもん」
「えー、じゃ、今からチェックしまーす」
孝志が勢い良く光恵をソファに押し倒した。
「もうっ」
「今は怒ってるけど、そのうち『もっと』っていうんだ」
「ばかばかばか」
「かわいいなあ、好き」
「……あっ、もう」
孝志の手際はすばらしく、あっという間に光恵は孝志のものとなる。
この幸せを手放せない。
だから、結婚するの。
わたしの選択は間違ってないわ。
光恵は孝志の腕の中まどろみながら、そう自分に言い聞かせた。