「おわかれじゃない?」
「別れじゃないよ、わかってるだろ?」
「孝志……すき」
「俺も、お前が好きだよ。結婚式、参列していって」
身体を離すと、涙でぐしゃぐしゃになったさゆりが、笑う。それから頬を膨らませた。
「ずるいなあ、孝志」
「本当の気持ちだもん」
「祝わざるを得なくなっちゃった」
さゆりは「ふう」と溜息をつくと、立ち上がった。うーんと身体をのばして、光恵を見る。
それから
「ブス」
と言い放った。
光恵は「は?」と思わず声に出す。
「中の中ぐらいの顔じゃない? それにもういい歳」
光恵は反論できない。
確かにおっしゃる通りですから。
「わたしの方がきれいだけど、孝志はあなたと結婚したいって言うんだから仕方ないわ」
「そう……ですね、はは」
光恵は力なく笑った。
「幸せになんかならないでよ、ブス」
「はあ」
さゆりはくるりと孝志を振り帰ると「孝志は幸せになんなさいね」と言う。
それから手をひらひらとしながら、部屋から出て行った。

