おててがくりーむぱん2



「ルームメイト募集広告を見て、俺から連絡した。さとしはまだ『さとし』のままで、俺を見ても驚かなかった」


さゆりはうつむく。
髪を耳に掛けた。


「楽しかったよな。一緒にバーに行って飲んだり、夜通ししゃべったり」
「そうね」
「お前の気持ちにはなんとなく気づいてたけど、居心地がよかったから離れられなかった」
「……」


さゆりは唇と尖らせて、眉をひそめる。なんとか泣くのを我慢しているように見えた。


「俺、さとしのこと、大好きだよ。姿が変わっても、変わらず好きだ」
孝志がそう言うと、さゆりは小さく肩を震わせて、嗚咽しはじめた。


「ううううっ……。わたしと結婚してよ」
さゆりは顔を覆うと、ぐももった声でそう言った。


「できないよ、ごめん」
孝志がさゆりの肩を抱く。


「俺、あの人のことを、死ぬほど愛してるんだ」
「……」
「何度も話したよな。彼女のこと。きっと待っててくれるって、おまえ言っただろ」
「……」
「それを支えに、ここまで来たんだ。お前の言う通り、彼女は待っていてくれた」


孝志はさゆりを引きよせて、抱きしめた。
「さとしのことを、これからも大切な友達にしておきたいんだ」