「とにかくっ、この結婚、わたしは認められません!」
さゆりはドシンとソファに座り込み、腕を組んだ。
「認めるも、何も……」
孝志は頭を抱えた。
誰かを好きになると、どうしようもなくなる。
理性は吹っ飛んで、いろんなことが見えなくなる。
きっとこの「さゆりさん」もそうだ。
「孝志」
「何?」
今日の主役であるはずの新郎は、心なしかよれている。
「彼女のこと、好きだったんでしょ?」
「は?」
孝志は「信じられない」というような顔を見せる。
「だってそうじゃなきゃ、一緒に暮らしたりできない」
「まあ……そりゃ……でも……」
「ちゃんと気持ちを話さなきゃ」
「ミツ……」
孝志は光恵の言わんとすることが分かると頷いた。
「さとし」
孝志は「さゆり」に呼びかけた。
彼女はむすっとした顔をして「そう呼ばないで」と言う。
「いや、俺にとっては、さとし」
孝志は歩いて、彼女の隣に座る。

