すぐに扉がノックされる。
「どうぞ」
光恵は鏡の横に立ったまま、そう声をかけた。
「ミツ」
孝志がドアの隙間から顔をのぞかせた。
するとソファに座っていた彼女が立ち上がる。大股で扉に歩み寄ると、勢いよく扉を開いた。
つまづくような形で孝志が部屋に入って来た。
真っ白なタキシード。
これまで見て来たどんな孝志よりも、ずっとずっと素敵でセクシー。
でも、顔がめちゃくちゃ、間抜けになってる。
その女性を口をあけて見るやいなや、パニックが彼を襲っているのが、光恵の目から見てもはっきりと分かった。
「さっ、さと……」
孝志が何か言いかけようとすると、女性は孝志にぴょんと抱きついた。
それから孝志の唇を奪う。
情熱的なキス。
孝志はよろけて、扉にぶちあたる。
それでも彼女は勢いを緩めない。
光恵は呆然とその光景を眺めながら、止めた方がいいのか迷う。
何がおきているのか、なんだかよく分からなかった。

