おててがくりーむぱん2



女性は「ふん」と鼻で笑うと、どかっと控え室の壁際に置いてある革張りのソファに座り込んだ。


光恵はなにがなんだか分からず、呆然と立ち尽くす。
「あの……」
「なんですか?」
優越感に浸っているようなその女性は、光恵を睨みつけるように見上げる。


「とりあえず、今日は帰っていただいても?」
光恵は丁重にそう訊ねる。


「なんでよ」
「だって、もうすぐ式が始まるし。本当なら、彼に確かめてみないと」
「じゃ、今、連絡すれば? もちろんいるんでしょ?」
「はあ……」


式の前に、新郎に会ってもいいんだろうか。


光恵はぼんやりとしながら、そんなことを考える。


「早く!」
「は、はいっ」


光恵は言われるがままに、孝志に携帯から電話をかけた。


「もしもし」
「ミツ?」


孝志の甘えた声が聞こえて来た。
実に能天気な感じだ。


「あのね」
「うん?」
「今、控え室に、あなたの彼女だっていう人が来てるんだけど」
「……まさか」
「とりあえず来てくれない?」
「……わかった」


あろうことか、孝志の声が心なしか緊張しているのが分かった。


もしかして。
心あたり,アリなの?