光恵はまだ一言も発しない。
孝志から視線を外すと、はめられた指輪をじっと見つめる。
それから、くるくると自分でその指輪を回しはじめた。
まさか……はずすつもり?
孝志はあわてて光恵の手を止める。
それから思い切って、その指にそっとキスをした。
「俺たち、結婚するんだよ」
「……」
「結婚……するんだよ……ね?」
あれ? 俺、汗かいてきた。
「……ほんと?」
ミツがしゃべった!
でも、『ほんと?』って、どういう意味?
「ほんとだよ」
「なんで」
「なんでって言われても」
孝志にじわりじわりとパニックが押し寄せる。
どうしよう。
ミツが戸惑ってる。
さっきのは、勢いで「はい」って言っただけで、本当はもうそんな気ないのか?
「彼女、いないの?」
光恵が訊ねる。
「いないよ」
「ほんと?」
「うん」
「わたしに……彼がいるかもよ」
「いない」
「なんで、そう思うの?」
「だってリサーチ済みだから」

