ノックの音。 「何?」 光恵は気だるい返事を返した。 木の扉がそっと開き、その隙間から母親が顔をのぞかせる。 「光恵、お客さんよ」 光恵の鼓動が不規則に動き出す。 孝志? 「誰?」 「鈴木さん」 佑司……。 そっか、そうだよね。 「この部屋案内してもいい?」 「うん……ちょっと待って」 光恵はよいしょっとベッドから起き上がると、鏡の前で姿を確認した。 どんなに手直ししようとも、どうにもならない感じだ。 まあ、いいや、どうでも。 「いいよ。入ってもらって」 光恵は言った。