「あー、あーりの餃子すげー美味かった。」

「ほんと?」

「ほんとだって。また作ってな。」

「うん、もちろん!いつでも作るよ。」


買い忘れた牛乳を買いに行くついでに、聡を駅まで送っていくことにした。

腕を絡めて歩いていると、私は世界一幸せな彼女なのではないかと思えてくる。


「あーり。」


不意に足を止めた右側を見れば、優しいキスが訪れる。

柔らかい髪が額にふれてくすぐったい。首筋からは聡がいつも付けている香水の匂いがふわりと香った。


「ふふっ、こんな道端で?」

「俺はしたいときにする主義なの。」


八重歯を覗かせてにいっと笑った聡は、私の右手を掴んで再び歩き出す。少し早足の聡に合わせて大股で歩いた。