それに気づいた楓が
私の手を優しく握って
バーっと前に走ってくれた。
ナツメさんと胡桃沢さんを
バーっと横切る。
一瞬、ナツメさんと
目があった気がしたけど
涙でよく見えなかったから気のせいだって
そう思った。
タッタッタッと響く足音
乱れる吐息
風を切る音
他はなにも聞こえない。
梅雨の匂いが走って乱れた呼吸でも
鮮明に分かる。
ナツメさんの声も
私の耳に届かないところまで…
楓は私をどんどん引っ張ってくれた。
2人で走っている間
楓は前しか向いてないし
運動神経抜群だからスピードも落ちない。
でも優しく握られた手。
私は楓の優しくて強い導きに身を委ねて
泣きながら走った。
